VMAT(災害派遣獣医療チーム)

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鹿児島県獣医師会
動物防災委員会の取り組みについて

鹿児島県獣医師会では、2017年から動物福祉事業の一環として、動物防災に関わる委員会を設立し、所属会員の知識や技能の向上に努めています。

日本は世界有数の災害発生国であり、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震など、いつ、どこで大規模な災害が起きてもおかしくない現状です。特に私たちが住む鹿児島県は、毎年のように上陸する台風や、活発な活動を続ける桜島などの活火山の存在、大規模なシラス台地・シラス丘陵地である土壌環境など、災害が起こりやすい県であると言えます。

このような状況の中、災害発生時の動物医療の役割は、家庭動物や産業動物など被災した動物に対する救護・医療活動はもとより、人と動物の共通感染症、食品および環境衛生、公衆衛生、放浪動物の野生化や遺伝子汚染への対策など多岐にわたります。また、災害救助で活動する救助犬などへの医療提供や被災した飼い主様への支援なども重要な活動となるでしょう。

私たち鹿児島県獣医師会は、災害時の動物医療体制を充実させるために定期的な講習会を開催し、災害獣医学における知識や技術を高め、人と動物と環境の健康を維持する社会づくりに貢献したいと考えています。

そして、飼い主の皆様にも災害時にご自身やペットの安全を守ることを、平常時から意識して頂きたいと思います。まずはお住まいの地域の防災計画やハザードマップなどを確認し、災害発生時の避難場所やそこに至る経路を確認しておくことが必要です。また、災害の発生当初はペットフードや水などが不足することが十分考えられます。

さらに公共の避難所などを利用する際、周囲の方々への十分な配慮が必要になるでしょう。つまり、普段から災害時に必要となる備えをし、地域社会に受け入れられるように適切な飼養管理を行う事が求められます。

例えば狂犬病予防接種やその他混合ワクチンの接種、ノミ・マダニなどの外部寄生虫の予防、回虫や鉤虫など内部寄生虫の予防などは最低限行っておくべきでしょう。また、避難している方には動物が苦手な方もいるかもしれません。アレルギーをお持ちの方もいるでしょう。そのような方々とお互いにストレスなく共同生活をするためにも、しっかりとした躾や社会化が必要であると思われます。

ペット用の備蓄品と持ち出す際の優先順位の例

優先順位 1

常備品と飼い主やペットの情報

  • 療法食・常備薬
  • フード・水5日分(できれば7日分以上)
  • 予備の首輪・リード(伸縮しない物)
  • 食器
  • ガムテープ
  • 飼い主の連絡先とペットに関する飼い主以外の緊急連絡先・預かり先などの情報
  • ペットの写真
  • ワクチン接種歴・既往症・健康状態・かかりつけ動物病院の情報

優先順位 2

その他、ペットの身の回りの世話に必要なもの

  • ペットシーツ
  • 排泄物の処理用具
  • トイレ用品・使い慣れた猫砂
  • タオル・ブラシ・爪切りなどのグルーミング用品
  • おもちゃ
  • 洗濯ネット(猫ちゃんの保定用)

災害はいつどこで起きてもおかしくありません。もし被災したときにどのような対策がとれるのか、普段からご家族で話し合われておくことをお勧めいたします。動物の命を守ることは人の命を守ることにつながります。そのお手伝いを鹿児島県獣医師会はしたいと考えています。

鹿児島県獣医師会 動物防災委員会 委員長

ささき動物病院 佐々木 弘一